HOW TOIECインレットの種類:C13・C14、C19・C20などの違い
パソコンやモニターの電源コードを抜いてみると、機器の背面に三つのピンが並んだ差し込み口があります。この差し込み口と、コードの先の形は、世界共通の規格で決まっています。
「C13」「C14」「C20」…カタログでよく見るこの記号は、その形の名前です。この記事では、記号の読み方と代表的な形、そして機器に合ったインレットの選び方を、図を使ってやさしく説明します。
3行でわかる!この記事のポイント
- 奇数はコード側(メス)、偶数は機器側(オス)。C13 と C14 がペア
- 形のちがいは、電流・温度・アースの有無のちがい
- 選ぶときは電流 → 温度 → アース → 抜け防止 → ほかの機能の順に
IECインレットってなに?
電気で動く機器の多くは、電源コードを取り外せるようになっています。
コードを取り外せると、国ごとにちがうコンセントの形に合わせて、コードだけを替えればよくなります。機器本体は世界共通のまま、出荷先ごとにコードを付け替えられるわけです。
そのために、機器側の差し込み口と、コード側の先端の形を国際規格で決めています。この機器側の差し込み口を「インレット」と呼びます。
用語メモ
- IEC 60320
- 家庭用や似た用途の機器につなぐ電源コネクターの国際規格。C1〜C24 の形と、電流・温度などが決められています。
- インレット
- 機器側にある、電源コードを差し込む部分。ピン(オス)が出ています。
- コネクター
- 電源コードの先端の、インレットに差し込む部分。穴(メス)があいています。
奇数と偶数で見分けよう
IEC 60320 の形には「C」と数字の名前がついています。この数字には、覚えやすいルールがあります。
奇数はコード側(メス)、偶数は機器側(オス)です。そして、となり合う奇数と偶数がペアになります。
たとえばパソコンの電源コードは、コードの先が「C13」、機器の背面が「C14」。この二つがぴったり合わさる組み合わせです。
用語メモ
- オス/メス
- ピンが出ている側をオス、ピンを受ける穴がある側をメスと呼びます。
- コードセット
- プラグ・コード・コネクターがひとつになった電源コード。「電源ケーブル」とも呼ばれます。
よく使われる6つの形
規格にはたくさんの形がありますが、ふだんよく目にするのは次の6つです。
図は、機器側のインレット(偶数)を正面から見たイメージです。ピンの数や並び方、外側の形が少しずつちがうのがわかります。
形のイメージです。実際の寸法や比率とは異なります
C6 はその形から「ミッキー型」、C8 は「メガネ型」とも呼ばれ、ノートパソコンのACアダプターや小型の家電でよく見かけます。
ペアになるコネクターと、主な特徴を表にまとめました。
| コード側 | 機器側 | 定格電流(IEC) | ピン温度の上限 | アース | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| C5 | C6 | 2.5A | 70℃ | あり | ACアダプター、小型の電源 |
| C7 | C8 | 2.5A | 70℃ | なし | 小型の家電、オーディオ機器 |
| C13 | C14 | 10A | 70℃ | あり | パソコン、モニター、計測器など |
| C15 | C16 | 10A | 120℃ | あり | 熱を持つ機器 |
| C15A | C16A | 10A | 155℃ | あり | さらに高温になる機器 |
| C17 | C18 | 10A | 70℃ | なし | 二重絶縁の機器(クラスII) |
| C19 | C20 | 16A | 65℃ | あり | サーバー、大きな電力の機器 |
| C21 | C22 | 16A | 155℃ | あり | 大電力で高温になる機器 |
電圧はいずれも 250V。北米の UL 規格では、C13/C14 が 15A、C19/C20 が 20A などと別の値になります
用語メモ
- 定格電流
- その部品に、安全に流し続けられる電流の上限。
- ピン温度
- 使っているときに、インレットのピンが何℃まで上がってよいかの上限。機器の熱がピンに伝わる場合に重要です。
まちがえて挿さらないしくみ
よく似た形でも、組み合わせによっては挿さらないように作られています。これは、危ない組み合わせを物理的に防ぐためのしくみです。
たとえば、高温用の C16 インレットには「でっぱり」があり、ふつうの C13 コネクターは挿さりません。熱に弱いコードが、高温になる機器につながらないようにしているのです。
反対に、熱に強い C15 コネクターは、ふつうの C14 インレットにも挿せます。
覚え方はかんたんです。「より安全な側のコードは挿さる、危ない側のコードは挿さらない」と考えると、整理しやすくなります。
選び方は5ステップ
機器に付けるインレットは、次の5つのステップで選んでいきましょう。
- 1電流10A か 16A か
- 2温度機器の熱は?
- 3アースクラスI か II か
- 4抜け防止抜けたら困る?
- 5ほかの機能スイッチ・ヒューズなど
STEP 1 電流:10A か 16A か
まずは、機器がふだん使う電流を確認します。
一般的な電子機器なら、10A の C14 で足りることがほとんどです。サーバーや大型の装置のように 10A を超える電流が流れる機器では、16A の C20 を選びます。
電流には余裕をもたせましょう。電源を入れた瞬間に流れる大きな電流(突入電流)も、あわせて確認しておくと安心です。
STEP 2 温度:インレットまわりは熱くなる?
次に、インレットのまわりがどれくらい熱くなるかを考えます。
ヒーターや電気ケトルのように、機器の熱がインレットに伝わる場合は、ピン温度の上限が高い C16 や C16A を選びます。ふつうの電子機器なら、70℃ の C14 で問題ありません。
インレットのピン温度の上限(IEC 60320)
STEP 3 アース:クラスI か クラスII か
三つ目は、アース(接地)が必要かどうかです。これは、機器が感電をどうやって防ぐ設計になっているかで決まります。
金属のケースを持つ機器など、アースで人を守る「クラスI」機器には、アース付きの C14 や C20 を使います。二重の絶縁で人を守る「クラスII」機器には、アースのない C18 などを使います。
クラスI 機器
アースで感電を防ぐ。金属ケースの機器など。インレットは C14・C20 など。
クラスII 機器
二重の絶縁で感電を防ぐ。アースは使わない。インレットは C18・C8 など。
用語メモ
- アース(接地)
- 機器のケースを大地につなぎ、もれた電気を逃がすしくみ。
- 二重絶縁
- 電気が通る部分を、二重の絶縁で囲んで感電を防ぐ方法。「回」の字のようなマークで表されます。
STEP 4 抜け防止:コードが抜けたら困る?
四つ目は、コードが抜けにくい工夫が必要かどうかです。
ふつうのインレットは、コードを引っぱると抜けてしまいます。医療機器やサーバー、計測器など、動いている最中に電源が切れると困る機器では、抜け防止のしくみがあると安心です。
ふつうのインレット
差し込むだけ。引っぱったり、振動が続いたりすると抜けることがあります。
抜け防止付きインレット
コネクターをしっかり保持して、うっかり抜けるのを防ぎます。SCHURTER社の「V-Lock」などがあります。
V-Lock は、インレットのアースピンにある溝に、専用コードのコネクターがかみ合うしくみです。専用コードを使えば抜けにくくなり、ふつうのコードもそのまま挿して使えます。
用語メモ
- V-Lock(ブイロック)
- SCHURTER社の、電源コードの抜け防止システム。対応インレットと対応コードを組み合わせて使います。
STEP 5 ほかの機能:まとめて付ける?
最後に、インレットのほかに必要な部品を考えます。
電源スイッチ、ヒューズ、ノイズを抑えるフィルターなども必要なら、それらをインレットとひとつにまとめた「パワーエントリーモジュール」を選ぶ方法もあります。部品の数や取り付け穴が減り、組み立てが楽になります。
インレット+ヒューズ
インレット+スイッチ+ヒューズ
インレット+スイッチ+ヒューズ+フィルター
右に行くほど、ひとつの部品に多くの機能がまとまります
パワーエントリーモジュールについては、このシリーズの「パワーエントリーモジュール入門」で詳しく説明しています。
やりがちな失敗3つ
ここで、はじめてインレットを選ぶときに、やりがちな失敗を紹介します。
オスとメスを逆に覚える
機器側は偶数(オス)。C13 を機器に付けると、コード側と合わなくなります。
熱い機器に C14 を使う
ピンの温度が上限を超えるおそれがあります。高温なら C16 などを。
コードの定格を見ない
インレットが 16A でも、コードが細ければ 16A は流せません。コード側もあわせて確認を。
まとめ:選ぶ前のチェックリスト
インレットは小さな部品ですが、機器の安全を入口で支える大切な部品です。選ぶ前に、次の5つを確認しておきましょう。
- 機器がふだん使う電流は? → C14(10A)か C20(16A)か
- インレットのまわりは熱くなる? → ピン温度(C16・C16A)
- アースは必要? クラスI か クラスII か? → C14 か C18 か
- コードが抜けたら困る? → 抜け防止(V-Lock など)
- スイッチ・ヒューズ・フィルターも必要? → パワーエントリーモジュール
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