HOW TO図でわかる!サーキットブレーカーとヒューズの使い分け
機器を電気のトラブルから守る部品といえば、ヒューズとサーキットブレーカーです。どちらも「電気が流れすぎたら止める」部品ですが、しくみも得意なこともちがいます。
「この機器にはどちらを使えばいいの?」と迷ったときのために、この記事では、2つのちがいと使い分けのポイントを、図を使ってやさしく説明します。
3行でわかる!この記事のポイント
- どちらも流れすぎた電気を止めて機器を守る部品
- ヒューズは切れたら交換、ブレーカーはボタンで何度でも復帰
- 決め手は復帰のしやすさ・止める速さ・遮断容量・大きさとコスト
どちらも「流れすぎ」を止める部品
機器の中で部品が壊れたり、配線がショートしたりすると、ふだんよりずっと大きな電流が流れます。そのままにすると、部品が焼けたり、火が出たりするおそれがあります。
ヒューズとサーキットブレーカーは、どちらもこの流れすぎた電流(過電流)を検知して、電気を止める部品です。
いちばん大きなちがいは、止めたあとの元への戻し方です。
ヒューズは、中の金属の線が熱で溶けて電気を止めます。一度切れたら、新しいヒューズに交換します。
サーキットブレーカーは、中のしくみが働いて接点を開き、電気を止めます。原因を取り除いたら、ボタンやレバーを操作するだけで元どおり使えます。
用語メモ
- 過電流
- ふだんより大きく流れすぎた電流。部品の故障や、使いすぎ(過負荷)で起こります。
- 短絡(ショート)
- 電気の通り道が途中でつながってしまい、とても大きな電流が一気に流れる状態。
- 機器用サーキットブレーカー
- 機器に組み込んで使う小型のブレーカー。国際規格 IEC 60934 で決められています。「CBE」とも呼ばれます。
ブレーカーのしくみは3種類
機器用のサーキットブレーカーは、過電流を検知するしくみによって、主に3つに分けられます。
家の分電盤にあるブレーカーとちがい、機器用のものは小さく、機器のパネルに取り付けて使うものが多くあります。
熱動式(サーマル)
電流で温まると曲がる金属(バイメタル)で検知。小さく手ごろで、モーターの起動などの一時的な電流に強いのが特長です。
電磁式(マグネティック)
電流が作る磁力で検知。まわりの温度の影響を受けにくく、正確に止められます。
熱動電磁式
熱動式と電磁式の組み合わせ。ふつうの過電流は熱で、ショートの大電流は磁力ですばやく止めます。
用語メモ
- バイメタル
- 温まり方のちがう2枚の金属をはり合わせた板。温度が上がると曲がる性質を使います。
- トリップ
- ブレーカーが働いて、電気を止めること。「引きはずし」とも言います。
止まるまでの時間をくらべると
ヒューズもブレーカーも、流れた電流が大きいほど早く電気を止めます。この関係を表したのが、「時間-電流特性」のグラフです。
横軸は流れた電流が定格の何倍か、縦軸は止まるまでの時間です。線が左下にあるほど、少ない電流で、早く止まることを表します。
グラフの形はイメージです。実際の特性は製品ごとのデータシートで確認してください
熱動電磁式のブレーカーは、ある電流を超えると磁力で一気に止まるため、グラフに段差ができます。一方、とても大きな電流のときは、ヒューズのほうが速く止まるのがふつうです。
この速さのおかげで、ヒューズはショートのときの大電流を小さく抑えて、まわりの部品を守る力にも優れています。
用語メモ
- 時間-電流特性
- 電流の大きさと、止まるまでの時間の関係を表したグラフ。ヒューズ編で紹介したものと同じ考え方です。
- 電流制限
- ショートのとき、電流が大きくなりきる前に止めて、流れる電流を小さく抑えること。ヒューズの得意な働きです。
ひと目でくらべる
ここまでの内容を、表にまとめました。どちらが「えらい」ということはなく、得意なことがちがいます。
| ヒューズ | サーキットブレーカー | |
|---|---|---|
| 止めたあと | 交換する | ボタンで復帰 |
| 大電流を止める速さ | とても速い | 種類による |
| 遮断容量 | 大きいものを選びやすい | 製品による |
| 大きさ・部品の価格 | 小さく、安い | 大きめ、高め |
| 予備の部品 | 必要 | いらない |
| スイッチ兼用 | できない | できるタイプもある |
用語メモ
- 遮断容量
- ショートのときなどに、安全に止められる電流の大きさの上限。これを超えると、うまく止められないおそれがあります。
どっちを選ぶ?5つの質問
迷ったときは、次の5つの質問に順番に答えてみましょう。
- 1誰が直す?その場で復帰したい?
- 2何を守る?速さが必要?
- 3ショート電流遮断容量は足りる?
- 4大きさとコスト小さく安く?
- 5スイッチ兼用したい?
質問1 異常のあと、誰がどう直す?
機器を使う人が、その場ですぐに復帰させたいなら、ブレーカーが便利です。予備のヒューズを用意したり、工具でふたを開けたりする必要がありません。
一方、「異常が起きたら、必ず専門の人が原因を調べてから直す」という機器なら、交換が必要なヒューズのほうが、原因を見逃しにくいとも言えます。
質問2 何を守りたい?
半導体のように、少しの過電流でもすぐ壊れてしまう部品を守りたいなら、速断ヒューズが向いています。
モーターや電源のように、電源を入れた瞬間だけ大きな電流が流れる機器では、タイムラグヒューズや、一時的な電流に強いブレーカーを選びます。
質問3 ショートしたときの電流は大きい?
コンセントに直接つながる部分など、ショートしたときに大きな電流が流れるところでは、遮断容量が重要です。
ブレーカーの遮断容量が足りない場合は、手前にヒューズを入れて、大電流はヒューズに任せる組み合わせ方もあります。
質問4 大きさとコストは?
基板の上の小さな回路や、たくさん作る製品では、小さく安いヒューズが有利です。
ただし、予備のヒューズや交換の手間まで含めて考えると、ブレーカーのほうがトータルで手間が少ない場合もあります。
質問5 電源スイッチも兼ねたい?
機器用ブレーカーの中には、電源スイッチとして使えるタイプもあります。
スイッチとブレーカーを1つにまとめれば、部品の数を減らし、パネルをすっきりさせられます。
ヒューズが向いている例
電源ユニット、家電、基板の上の回路、半導体の保護、ショート電流の大きいところ。
ブレーカーが向いている例
使う人がその場で復帰させたい機器、産業機械、計測器、スイッチと兼用したい機器。
やりがちな失敗3つ
ここで、ヒューズとブレーカーを使うときに、やりがちな失敗を紹介します。
原因を調べずに復帰させる
何度もトリップするのは、異常のサイン。リセットをくり返す前に、まず原因を調べましょう。
遮断容量を確認しない
ショートの大電流を止めきれないおそれがあります。必要ならヒューズと組み合わせて。
まわりの温度を考えない
熱動式は、暑い場所では早く、寒い場所では遅く働きます。使う場所の温度も確認を。
まとめ:選ぶ前のチェックリスト
ヒューズとサーキットブレーカーは、どちらも機器を守る大切な部品です。それぞれの得意なことを生かして選びましょう。
- 異常のあと、その場ですぐ復帰させたい? → ブレーカー
- 半導体など、壊れやすい部品を守りたい? → 速断ヒューズ
- ショートしたときの電流は大きい? → 遮断容量(ヒューズとの組み合わせも)
- 小さく、安くしたい? → ヒューズ
- 電源スイッチも兼ねたい? → スイッチ兼用ブレーカー
ヒューズの選び方については、このシリーズの「はじめてのヒューズ選び」で詳しく説明しています。
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