HOW TO図でわかる!サーキットブレーカーとヒューズの使い分け

2026年10月15日技術コラム

この記事は約6分で読めます

機器を電気のトラブルから守る部品といえば、ヒューズとサーキットブレーカーです。どちらも「電気が流れすぎたら止める」部品ですが、しくみも得意なこともちがいます。

「この機器にはどちらを使えばいいの?」と迷ったときのために、この記事では、2つのちがいと使い分けのポイントを、図を使ってやさしく説明します。

3行でわかる!この記事のポイント

  1. どちらも流れすぎた電気を止めて機器を守る部品
  2. ヒューズは切れたら交換、ブレーカーはボタンで何度でも復帰
  3. 決め手は復帰のしやすさ・止める速さ・遮断容量・大きさとコスト

どちらも「流れすぎ」を止める部品

機器の中で部品が壊れたり、配線がショートしたりすると、ふだんよりずっと大きな電流が流れます。そのままにすると、部品が焼けたり、火が出たりするおそれがあります。

ヒューズとサーキットブレーカーは、どちらもこの流れすぎた電流(過電流)を検知して、電気を止める部品です。

いちばん大きなちがいは、止めたあとの元への戻し方です。

ヒューズは、中の金属の線が熱で溶けて電気を止めます。一度切れたら、新しいヒューズに交換します。

サーキットブレーカーは、中のしくみが働いて接点を開き、電気を止めます。原因を取り除いたら、ボタンやレバーを操作するだけで元どおり使えます。

用語メモ

過電流
ふだんより大きく流れすぎた電流。部品の故障や、使いすぎ(過負荷)で起こります。
短絡(ショート)
電気の通り道が途中でつながってしまい、とても大きな電流が一気に流れる状態。
機器用サーキットブレーカー
機器に組み込んで使う小型のブレーカー。国際規格 IEC 60934 で決められています。「CBE」とも呼ばれます。

ブレーカーのしくみは3種類

機器用のサーキットブレーカーは、過電流を検知するしくみによって、主に3つに分けられます。

家の分電盤にあるブレーカーとちがい、機器用のものは小さく、機器のパネルに取り付けて使うものが多くあります。

1

熱動式(サーマル)

電流で温まると曲がる金属(バイメタル)で検知。小さく手ごろで、モーターの起動などの一時的な電流に強いのが特長です。

2

電磁式(マグネティック)

電流が作る磁力で検知。まわりの温度の影響を受けにくく、正確に止められます。

3

熱動電磁式

熱動式と電磁式の組み合わせ。ふつうの過電流は熱で、ショートの大電流は磁力ですばやく止めます。

用語メモ

バイメタル
温まり方のちがう2枚の金属をはり合わせた板。温度が上がると曲がる性質を使います。
トリップ
ブレーカーが働いて、電気を止めること。「引きはずし」とも言います。

止まるまでの時間をくらべると

ヒューズもブレーカーも、流れた電流が大きいほど早く電気を止めます。この関係を表したのが、「時間-電流特性」のグラフです。

横軸は流れた電流が定格の何倍か、縦軸は止まるまでの時間です。線が左下にあるほど、少ない電流で、早く止まることを表します。

グラフの形はイメージです。実際の特性は製品ごとのデータシートで確認してください

熱動電磁式のブレーカーは、ある電流を超えると磁力で一気に止まるため、グラフに段差ができます。一方、とても大きな電流のときは、ヒューズのほうが速く止まるのがふつうです。

この速さのおかげで、ヒューズはショートのときの大電流を小さく抑えて、まわりの部品を守る力にも優れています。

用語メモ

時間-電流特性
電流の大きさと、止まるまでの時間の関係を表したグラフ。ヒューズ編で紹介したものと同じ考え方です。
電流制限
ショートのとき、電流が大きくなりきる前に止めて、流れる電流を小さく抑えること。ヒューズの得意な働きです。

ひと目でくらべる

ここまでの内容を、表にまとめました。どちらが「えらい」ということはなく、得意なことがちがいます。

ヒューズ サーキットブレーカー
止めたあと 交換する ボタンで復帰
大電流を止める速さ とても速い 種類による
遮断容量 大きいものを選びやすい 製品による
大きさ・部品の価格 小さく、安い 大きめ、高め
予備の部品 必要 いらない
スイッチ兼用 できない できるタイプもある

用語メモ

遮断容量
ショートのときなどに、安全に止められる電流の大きさの上限。これを超えると、うまく止められないおそれがあります。

どっちを選ぶ?5つの質問

迷ったときは、次の5つの質問に順番に答えてみましょう。

  1. 1誰が直す?その場で復帰したい?
  2. 2何を守る?速さが必要?
  3. 3ショート電流遮断容量は足りる?
  4. 4大きさとコスト小さく安く?
  5. 5スイッチ兼用したい?

質問1 異常のあと、誰がどう直す?

機器を使う人が、その場ですぐに復帰させたいなら、ブレーカーが便利です。予備のヒューズを用意したり、工具でふたを開けたりする必要がありません。

一方、「異常が起きたら、必ず専門の人が原因を調べてから直す」という機器なら、交換が必要なヒューズのほうが、原因を見逃しにくいとも言えます。

質問2 何を守りたい?

半導体のように、少しの過電流でもすぐ壊れてしまう部品を守りたいなら、速断ヒューズが向いています。

モーターや電源のように、電源を入れた瞬間だけ大きな電流が流れる機器では、タイムラグヒューズや、一時的な電流に強いブレーカーを選びます。

質問3 ショートしたときの電流は大きい?

コンセントに直接つながる部分など、ショートしたときに大きな電流が流れるところでは、遮断容量が重要です。

ブレーカーの遮断容量が足りない場合は、手前にヒューズを入れて、大電流はヒューズに任せる組み合わせ方もあります。

質問4 大きさとコストは?

基板の上の小さな回路や、たくさん作る製品では、小さく安いヒューズが有利です。

ただし、予備のヒューズや交換の手間まで含めて考えると、ブレーカーのほうがトータルで手間が少ない場合もあります。

質問5 電源スイッチも兼ねたい?

機器用ブレーカーの中には、電源スイッチとして使えるタイプもあります。

スイッチとブレーカーを1つにまとめれば、部品の数を減らし、パネルをすっきりさせられます。

ヒューズが向いている例

電源ユニット、家電、基板の上の回路、半導体の保護、ショート電流の大きいところ。

ブレーカーが向いている例

使う人がその場で復帰させたい機器、産業機械、計測器、スイッチと兼用したい機器。

やりがちな失敗3つ

ここで、ヒューズとブレーカーを使うときに、やりがちな失敗を紹介します。

×

原因を調べずに復帰させる

何度もトリップするのは、異常のサイン。リセットをくり返す前に、まず原因を調べましょう。

×

遮断容量を確認しない

ショートの大電流を止めきれないおそれがあります。必要ならヒューズと組み合わせて。

×

まわりの温度を考えない

熱動式は、暑い場所では早く、寒い場所では遅く働きます。使う場所の温度も確認を。

まとめ:選ぶ前のチェックリスト

ヒューズとサーキットブレーカーは、どちらも機器を守る大切な部品です。それぞれの得意なことを生かして選びましょう。

  • 異常のあと、その場ですぐ復帰させたい? → ブレーカー
  • 半導体など、壊れやすい部品を守りたい? → 速断ヒューズ
  • ショートしたときの電流は大きい? → 遮断容量(ヒューズとの組み合わせも)
  • 小さく、安くしたい? → ヒューズ
  • 電源スイッチも兼ねたい? → スイッチ兼用ブレーカー

ヒューズの選び方については、このシリーズの「はじめてのヒューズ選び」で詳しく説明しています。

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