HOW TO図でわかる!SMD(表面実装)部品の基礎
スマートフォンやパソコンの中の基板をのぞくと、米粒よりも小さな部品がびっしり並んでいます。これらの多くが「SMD部品(表面実装部品)」です。
いまや電子機器の部品の主役ともいえる SMD 部品ですが、大きさの表し方や扱い方には、知っておきたいポイントがあります。この記事では、SMD 部品の基本を、図を使ってやさしく説明します。
3行でわかる!この記事のポイント
- SMD 部品は、基板の表面に直接はんだ付けする小さな部品
- 大きさの記号にはインチ表記とミリ表記があり、取りちがえに注意
- 選ぶときはサイズ・定格・はんだ付け・梱包・保管を確認
SMD部品ってなに?
電子部品を基板に取り付ける方法は、大きく2つあります。
ひとつは、部品の足(リード)を基板の穴に通して、裏側ではんだ付けする方法。もうひとつが、基板の表面にある小さな金属の部分(ランド)に、部品を直接はんだ付けする方法です。この2つめの方法で取り付ける部品を、SMD 部品と呼びます。
同じヒューズでも、リード付きのものと SMD のものがあります。並べてみると、形のちがいがよくわかります。
リード付きヒューズ
足を基板の穴に通して取り付けるタイプ。
SMDヒューズ
基板の表面に直接はんだ付けするタイプ。
写真:By SCHURTER
用語メモ
- SMD/SMT
- SMD は Surface Mount Device(表面実装部品)、SMT は Surface Mount Technology(表面実装の技術)の略です。
- スルーホール実装
- 部品の足を基板の穴に通して取り付ける方法。THT とも呼ばれます。
- ランド(パッド)
- 基板の表面にある、部品をはんだ付けするための小さな金属の部分。
SMDのいいところ・気をつけたいところ
SMD 部品が広く使われているのは、機器を小さく、たくさん、速く作れるからです。一方で、小さいからこその注意点もあります。
いいところ
小さく軽い。基板の両面に部品を載せられる。機械で自動的に、速く取り付けられる。
気をつけたいところ
手作業ではんだ付けしにくい。基板の曲げや熱に弱いものもある。大きな電流・電圧が苦手なことも。
大きさの読み方:インチとミリに注意
抵抗やコンデンサーなどの四角い小さな部品(チップ部品)は、大きさを4けたの数字で表します。前の2けたが長さ、後ろの2けたが幅です。
ややこしいのは、この数字にインチで表したもの(インチ表記)と、ミリで表したもの(ミリ表記)の2種類があることです。たとえば「1608」はミリ表記で 1.6×0.8mm。同じ大きさをインチ表記にすると「0603」になります。
| インチ表記 | ミリ表記 | 実際の大きさ |
|---|---|---|
| 0201 | 0603 | 0.6 × 0.3 mm |
| 0402 | 1005 | 1.0 × 0.5 mm |
| 0603 | 1608 | 1.6 × 0.8 mm |
| 0805 | 2012 | 2.0 × 1.25 mm |
| 1206 | 3216 | 3.2 × 1.6 mm |
表を見ると、「0603」という同じ数字が、インチ表記とミリ表記の両方に出てくることに気づきます。インチの 0603 は 1.6×0.8mm、ミリの 0603 は 0.6×0.3mm。大きさがまったくちがうので、どちらの表記かを必ず確認しましょう。
用語メモ
- チップ部品
- 両端に電極がついた、四角い小さな SMD 部品。抵抗、コンデンサー、ヒューズなどがあります。
- インチ表記/ミリ表記
- 部品の大きさを、インチ(1インチ=25.4mm)とミリのどちらで表すかのちがい。海外ではインチ表記、日本ではミリ表記がよく使われます。
いろいろなSMD部品の形
SMD 部品には、チップ部品のほかにもさまざまな形があります。代表的なものを紹介します。
チップ部品
両端に電極がある四角い部品。抵抗、コンデンサー、インダクター、ヒューズなど。
小さな半導体(SOT など)
トランジスターやダイオードなどを入れた、足が数本の小さなパッケージ。
IC(SOP・QFN・BGA など)
たくさんの電極を持つ IC のパッケージ。足が外に出るもの、裏側に電極が並ぶものなどがあります。
ヒューズホルダーなど
交換できる部品を保持するホルダーにも SMD タイプがあります。SCHURTER社には、5×20mm の管ヒューズ用の SMD ヒューズホルダー「FPG7」などがあります。
はんだ付けは「リフロー」で
SMD 部品の多くは、「リフロー」という方法で、まとめてはんだ付けされます。
基板にクリーム状のはんだを印刷し、その上に機械で部品を載せ、炉で加熱してはんだを溶かします。たくさんの部品を一度にはんだ付けできるのが特長です。
はんだを印刷 → 部品を載せる → リフロー炉で加熱 → 検査
リフローでは、部品も高い温度にさらされます。そのため、部品がどの温度まで耐えられるかを、データシートで確認しておくことが大切です。
用語メモ
- リフロー
- はんだを印刷した基板に部品を載せ、炉で加熱してはんだ付けする方法。
- はんだペースト
- 細かいはんだの粒と、はんだ付けを助ける薬(フラックス)を混ぜたクリーム状のはんだ。
- マウンター
- 部品を基板の決まった位置に、自動で載せていく機械。
選び方は5ステップ
SMD 部品を選ぶときは、次の5つのステップで確認していきましょう。
- 1サイズ表記と扱いやすさ
- 2定格小さいほど限界も
- 3はんだ付け耐えられる温度
- 4梱包リールの数量
- 5保管湿気に注意
STEP 1 サイズ:表記と扱いやすさ
まずはサイズです。インチ表記かミリ表記かを確認したうえで、基板のスペースに合わせて選びます。
小さいほど機器を小さくできますが、そのぶん取り付けや検査、修理が難しくなります。試作で手作業ではんだ付けするなら、少し大きめのサイズのほうが扱いやすいでしょう。
STEP 2 定格:小さいほど限界もある
次に、定格を確認します。
SMD 部品は小さいぶん、流せる電流や、かけられる電圧、発熱に耐える力には限界があります。同じ種類の部品でも、サイズが小さいほど定格が小さくなることが多いので、余裕をもって選びましょう。
STEP 3 はんだ付け:耐えられる温度を確認
三つ目は、はんだ付けの条件です。
データシートには、リフローで何℃まで、何秒まで耐えられるかが載っています。工場のリフローの条件に合っているかを確認しましょう。手作業ではんだ付けする場合は、手はんだに対応しているかも見ておきます。
STEP 4 梱包:リールの数量
四つ目は梱包です。
SMD 部品は、自動で取り付けるために、テープに入れてリールに巻いた形で売られることが多くあります。1リールに数千個単位で入っていることもあるので、必要な数と合っているかを確認しましょう。少量なら、テープを切り分けた「カットテープ」で買える場合もあります。
用語メモ
- テープ&リール
- 部品をテープのくぼみに1個ずつ入れ、リールに巻いた梱包。マウンターにそのまま取り付けられます。
STEP 5 保管:湿気に注意
最後は保管方法です。
IC などの樹脂でできた部品は、空気中の湿気を少しずつ吸います。湿気を吸ったままリフローで加熱すると、中の水分が一気にふくらんで、部品が割れることがあります。
湿気への弱さは「MSL」という等級で表されます。開封後の保管期間が決められている部品は、乾燥した場所で保管し、期限を過ぎたら乾燥(ベーキング)させてから使います。
用語メモ
- MSL(湿気感受性レベル)
- 部品が湿気にどれだけ弱いかを表す等級。数字が大きいほど湿気に弱く、開封後に早く使い切る必要があります。
- ベーキング
- 湿気を吸った部品を、決められた温度と時間で加熱して乾かすこと。
やりがちな失敗3つ
ここで、SMD 部品を使うときに、やりがちな失敗を紹介します。
インチとミリを取りちがえる
「0603」はインチとミリで大きさがまったくちがいます。どちらの表記か必ず確認を。
小さすぎて手で付けられない
試作で手作業をするなら、扱えるサイズかどうかも考えて選びましょう。
開封したまま放置する
湿気を吸った部品をリフローすると、割れることがあります。保管の決まりを守って。
まとめ:選ぶ前のチェックリスト
SMD 部品は、小さな機器づくりを支える主役です。選ぶ前に、次の5つを確認しておきましょう。
- そのサイズはインチ表記? ミリ表記? → サイズの表記
- 電流・電圧・発熱に余裕はある? → 定格
- 工場のリフロー条件に耐えられる? → はんだ付けの条件
- 必要な数と、梱包の単位は合っている? → 梱包(リール・カットテープ)
- 湿気に弱い部品? → MSL と保管方法
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