HOW TO図でわかる!はじめてのデータシートの読み方
部品を選ぶとき、必ず目を通すのが「データシート」です。ところが、はじめて開くと英語と数字と記号ばかりで、どこから読めばいいのか分からない…という人も多いのではないでしょうか。
じつはデータシートには、どの部品でもだいたい共通の「型」があります。この記事では、データシートの構成と読む順番、そして数字やグラフ、図面の読み方を、図を使ってやさしく説明します。
3行でわかる!この記事のポイント
- データシートは、部品の「取扱説明書」と「成績表」を合わせたもの
- 数字は「どんな条件での値か」とセットで読む
- 概要 → 定格 → 寸法 → グラフ → 型番の順に読むと迷わない
データシートってなに?
データシートは、部品メーカーが作る、部品の性能や大きさをまとめた資料です。
「どんな用途に使えるか」「どこまでの電流や電圧に耐えられるか」「大きさはどれくらいか」「どの型番で注文すればいいか」。部品を選ぶために必要な情報が、ほぼすべて載っています。
メーカーや部品によって見た目はちがいますが、中身の並び方はだいたい共通です。まずは、全体の地図を頭に入れておきましょう。
データシートの構成のイメージ。順番や項目名はメーカーによって少しちがいます
用語メモ
- データシート(Data Sheet)
- 部品の仕様をまとめた資料。「仕様書」「カタログ」と呼ばれることもあります。
- 仕様(Specification)
- 部品の性能や条件を、数字で決めたもの。「スペック」とも言います。
よく出てくる英単語
海外メーカーのデータシートは、ほとんどが英語です。とはいえ、出てくる単語はある程度決まっています。
よく見かける単語を表にまとめました。これだけ知っておけば、読める部分がぐっと増えます。
| 英語 | 日本語 | どんな意味? |
|---|---|---|
| Rated current / voltage | 定格電流/定格電圧 | 安全に使い続けられる電流・電圧 |
| Operating temperature | 使用温度範囲 | 使ってよいまわりの温度 |
| Absolute maximum ratings | 絶対最大定格 | 一瞬でも超えてはいけない限界 |
| Typ. / Min. / Max. | 標準/最小/最大 | 値のばらつきの目安 |
| Dimensions | 寸法 | 部品の大きさ |
| Derating | ディレーティング | 条件によって使える値を下げること |
| Approvals | 認証 | 取得している安全規格のマーク |
| Ordering information / Part number | 注文情報/型番 | 注文するときの品番 |
| Packaging | 梱包 | 1箱・1リールの数など |
| Note / * | 注記 | 数字の条件や例外 |
読む順番は5ステップ
データシートは、最初から最後まで順番に全部読む必要はありません。次の5つのステップで、必要なところを確認していきましょう。
- 1概要何に使う部品?
- 2定格数字と条件
- 3寸法図入るか、付くか
- 4グラフ余裕はあるか
- 5型番認証と梱包も
STEP 1 概要:何に使う部品?
まずは1ページ目の、製品名・写真・特長(Features)・用途(Applications)を見ます。
ここで「自分の用途に合いそうか」を大まかに判断します。たとえば、用途に「医療機器向け」「基板実装用」などと書かれていれば、それが部品の得意分野です。
合わなさそうなら、細かい数字を読む前に、ほかの部品を探したほうが近道です。
STEP 2 定格:数字は「条件」とセットで
次に、仕様の表で定格を確認します。ここでいちばん大切なのは、数字だけでなく、その数字がどんな条件での値かを見ることです。
たとえば「定格電流 10A」と書いてあっても、「まわりの温度 23℃のとき」という条件がついていることがあります。温度が高いところでは、10A は流せないかもしれません。条件は、表の見出しや「*」の注記に書かれています。
もうひとつ大事なのが、「絶対最大定格」は、使ってよい値ではないということです。これは一瞬でも超えると壊れるおそれがある限界の値で、ふだんはそれより十分低い範囲で使います。
表には「Typ.(標準)」「Min.(最小)」「Max.(最大)」と書かれた値もよく出てきます。部品には1個ずつ小さなばらつきがあるため、設計では Typ. ではなく、Min. や Max. の値で考えるのが基本です。
Typ.(標準値)
たくさん作ったときの「だいたいこのくらい」という値。保証された値ではありません。
Min. / Max.(最小・最大)
どの部品でも、この範囲に入ることが保証された値。設計ではこちらを使います。
用語メモ
- 定格(Rating)
- 決められた条件で、安全に使い続けられる値。
- 絶対最大定格(Absolute Maximum Ratings)
- 一瞬でも超えてはいけない限界の値。この値で使い続けることは想定されていません。
- マージン(余裕)
- 実際に使う値と、定格などの上限との間にとっておく余裕。
STEP 3 寸法図:入るか、付くか
三つ目は、寸法図(Dimensions)です。部品が機器の中に収まるか、基板やパネルに取り付けられるかを確認します。
寸法図には、数字のほかに「±」や「max.」などの記号が書かれています。単位は多くの場合 mm ですが、インチで書かれていることもあるので、最初に確認しましょう。
寸法図の近くには、基板の穴の位置(推奨パターン)や、パネルにあける穴の大きさ(パネルカット)が載っていることもあります。設計するときは、こちらもあわせて確認します。
用語メモ
- 公差
- 寸法が、決められた値からどれだけずれてよいかの幅。「20.0 ±0.3」なら 19.7〜20.3mm です。
- 推奨パターン(ランドパターン)
- 部品を基板に付けるための、穴やはんだ付けする部分の推奨の形と位置。
- パネルカット
- 部品をパネルに取り付けるために、パネルにあける穴の形と大きさ。
STEP 4 特性グラフ:余裕はあるか
四つ目は、特性グラフ(Diagrams / Characteristics)です。表の数字だけでは分からない、条件が変わったときの性能の変化がグラフで示されています。
よく見かけるのが、まわりの温度によって流せる電流がどれだけ下がるかを表した「ディレーティング曲線」です。グラフは、横軸から縦に線を上げ、曲線とぶつかったところで横に線を引いて読みます。
グラフの形は例です。実際の値は各製品のデータシートで確認してください
この例では、まわりの温度が 60℃ なら、定格の約78%までしか流せないことが分かります。機器の中が熱くなる場合は、この分の余裕を見込んで部品を選びます。
グラフの目盛りが「1, 10, 100, 1000」のように10倍ずつ増えている場合は「対数目盛」です。目盛りの間隔が均等でないので、読むときは注意しましょう。
用語メモ
- ディレーティング曲線
- 温度などの条件によって、使える値がどれだけ下がるかを表したグラフ。
- 対数目盛
- 1目盛りごとに10倍などになる目盛り。とても広い範囲の値を1つのグラフに表せます。
STEP 5 型番:認証と梱包も確認
最後に、注文するための型番を確認します。
型番は、いくつかの記号を組み合わせて作られていることがよくあります。シリーズ名のあとに、定格や端子の形、梱包の種類などを表す記号が続く、というしくみです。
2極数
100定格電流
S端子
TR梱包
型番の組み立て方の例(架空の型番です)。記号の意味は、データシートの注文情報の表で確認します
あわせて、取得している認証(Approvals)と、梱包の単位(Packaging)も確認しておきましょう。必要な規格の認証がない型番や、1リール単位でしか買えない型番もあるからです。
用語メモ
- 認証マーク
- 部品が安全規格に合っていることを、第三者の機関が確認した印。UL、VDE、CCC などがあります。
- リール/テーピング
- 表面実装部品を、テープに入れてリールに巻いた梱包。自動実装機で使います。
やりがちな失敗3つ
ここで、データシートを読むときに、やりがちな失敗を紹介します。
絶対最大定格ぎりぎりで使う
絶対最大定格は「限界」です。ふだんはそれより十分低い範囲で使いましょう。
注記(*)を読み飛ばす
数字の条件や例外は、表の下の小さな注記に書かれていることが多いのです。
古いデータシートを使う
仕様は変わることがあります。メーカーのサイトで、最新の版を確認しましょう。
まとめ:読む前のチェックリスト
データシートは、部品とメーカーからの「説明書」です。慣れるまでは、次の5つを順番に確認していきましょう。
- 自分の用途に合う部品? → 概要(特長・用途)
- その数字は、どんな条件での値? → 定格と注記
- 機器に収まる? 取り付けられる? → 寸法図・パネルカット
- 温度などの条件で、余裕はある? → 特性グラフ
- どの型番で注文する? 認証と梱包は? → 注文情報
読んでも分からないところがあれば、メーカーや販売店に聞いてみるのもひとつの方法です。
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