HOW TO図でわかる!安全規格マーク早わかり

2026年10月15日技術コラム

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電子部品のデータシートや、家電の裏側のラベルには、アルファベットの小さなマークがいくつも並んでいます。「PSE」「UL」「CE」「VDE」…。見たことはあっても、意味まではよく知らない、という人も多いのではないでしょうか。

これらは、製品や部品が安全の基準に合っていることを示す「安全規格マーク」です。この記事では、主なマークの意味と、部品を選ぶときに気をつけたいポイントを、図を使ってやさしく説明します。

3行でわかる!この記事のポイント

  1. 安全規格マークは、その国・地域の安全の基準に合っているしるし
  2. マークには「ないと売れない(義務)」と「信頼の証(任意)」がある
  3. 部品の認証を確認しておくと、機器の認証がスムーズになる

安全規格マークってなに?

電気の製品は、使い方をまちがえなくても、作りが悪いと感電や火災の原因になります。そこで多くの国や地域では、電気製品が守るべき安全の基準を「規格」として決めています。

製品がその規格に合っているかを確かめ、合格したしるしとして付けるのが、安全規格マークです。

規格→試験→認証→マーク

安全の基準(規格)に合っているかを試験で確かめ、認められたらマークを付けます

確かめ方には、大きく2つの方法があります。

第三者認証

メーカーとは別の認証機関が試験をして、合格を認める方法。UL や VDE、CCC などがこの方法です。

自己宣言

メーカーが自分で規格に合っていることを確認し、責任を持って宣言する方法。ヨーロッパの CE マークが代表例です。

用語メモ

規格
製品が守るべき基準を、文書で決めたもの。国際規格の IEC、日本の JIS などがあります。
認証
製品が規格に合っていることを、試験などで確かめて認めること。
認証機関
試験をして認証を出す機関。UL、VDE、CSA などは、マークの名前であると同時に機関の名前でもあります。

世界の主なマーク

安全規格マークは、国や地域ごとにちがいます。製品を売る国が変われば、必要なマークも変わります。

電子部品のデータシートでよく見かけるマークを、地域ごとにまとめました。

PSE(ひし形)

日本・特定電気用品

PSE(丸形)

日本・それ以外

UL

アメリカ

CSA

カナダ・アメリカ

CE

EU

UKCA

イギリス

VDE

ドイツ

ENEC

ヨーロッパ

CCC

中国

KC

韓国

代表的なマークの例。実際には、認証機関の決まりにしたがった形・色・大きさで表示されます

PSE(日本)

電気用品安全法にもとづくマーク。対象の電気用品は、このマークがないと日本で販売できません。電源コードなど、部品そのものが対象になるものもあります。

UL(アメリカ)

アメリカの認証機関 UL のマーク。法律で一律に義務ではありませんが、取引先や保険の関係で、実際にはほぼ必要とされることが多いマークです。

CSA(カナダ)

カナダの認証機関 CSA のマーク。左右に「c」「us」が付いたものは、カナダとアメリカの両方の認証を表します。UL の cUL・cULus も同じ考え方です。

CE(EU)

EU の決まりに合っていることを示すマーク。対象の製品は EU で売るために必須です。多くはメーカーの自己宣言で付けられます。

VDE・ENEC(ヨーロッパ)

VDE はドイツの認証機関のマーク。ENEC はヨーロッパ共通の認証マークです。どちらも任意ですが、第三者が試験した信頼の証として重視されます。

CCC・KC(中国・韓国)

中国の CCC、韓国の KC は、対象の製品をその国で売るために必要なマークです。

用語メモ

電気用品安全法(PSE法)
日本で売られる電気用品の安全を守るための法律。特に危険の大きい「特定電気用品」はひし形の PSE マーク、それ以外は丸形の PSE マークです。
UKCA
EU を離脱したイギリスで使われる、CE マークにあたるマーク。
CBスキーム
1つの試験結果(CB証明書)を、参加している国どうしで認め合うしくみ。各国の認証をとる手間を減らせます。

「義務」と「任意」を見分けよう

マークの中には、法律で決められていてないと売れないものと、法律上は任意でも信頼の証として求められるものがあります。

主なマークを、義務かどうか、誰が確かめるかで整理しました。

マーク 国・地域 義務? 誰が確かめる?
PSE 日本 対象品は義務 特定電気用品は検査機関、それ以外はメーカー
CE EU 対象品は義務 主にメーカー(自己宣言)
UKCA イギリス 対象品は義務 主にメーカー(自己宣言)
CCC 中国 対象品は義務 認証機関
KC 韓国 対象品は義務 認証機関など
UL・CSA 北米 法律上は任意(※) 認証機関
VDE・ENEC ヨーロッパ 任意 認証機関

※ 取引先の要求や、職場の安全の決まりなどで、実際には必要とされることがほとんどです。対象品や条件は国ごとに細かく決められています

部品のマークを読むときのポイント

部品のデータシートの「Approvals(認証)」の欄には、取得しているマークが並んでいます。ここでは、部品ならではの読み方のポイントを2つ紹介します。

ひとつめは、UL の「リステッド」と「レコグナイズド」のちがいです。UL には、完成品向けの認証と、部品向けの認証があります。

UL リステッド(Listed)

そのまま単独で使える製品の認証。電源コードや延長コードなど。

UL レコグナイズド(Recognized)

機器に組み込む部品の認証。決められた条件で組み込まれることが前提です。

ふたつめは、部品の認証は、機器の認証の近道になるということです。

機器の認証を受けるとき、使っている部品がすでに認証を受けていれば、その部品の試験を省ける場合があります。認証品の部品を選ぶことは、開発の時間とコストを減らすことにもつながるのです。

用語メモ

cULus
アメリカ(us)とカナダ(c)の両方の UL 認証を受けていることを表す書き方。
認証番号(ファイル番号)
認証ごとにつく番号。認証機関のデータベースで、認証の内容や有効かどうかを調べられます。

マークではないけれど、よく見るもの

データシートには、安全規格とは別に、環境に関わる表示もよく載っています。安全マークと混同しやすいので、あわせて覚えておきましょう。

RoHS

鉛や水銀など、決められた有害物質を使っていないことを示す EU の決まり。安全規格ではなく、環境の決まりです。

REACH

化学物質の登録や管理についての EU の決まり。特に注意が必要な物質の含有を確認します。

ハロゲンフリー

燃えたときに有害なガスを出しやすい、塩素や臭素を減らした材料を使っていることを示す表示。

部品を選ぶときの5ステップ

最後に、認証の面から部品を選ぶときの流れを、5つのステップにまとめました。

  1. 1売る国どこで使われる?
  2. 2必要な認証義務と取引先の要求
  3. 3部品の認証Approvals の欄
  4. 4認証の定格規格ごとにちがう
  5. 5最新の状態有効か確認

STEP 1・2 売る国と、必要な認証を決める

まずは、機器をどの国や地域で売るのか、使うのかを確認します。

そのうえで、法律で必要なマークと、取引先から求められている認証を洗い出します。ここがはっきりしていないと、あとで部品を選び直すことになりかねません。

STEP 3・4 部品の認証と、その定格を確認する

次に、部品のデータシートで、必要な認証を取得しているかを確認します。

このとき注意したいのが、認証ごとに定格の値がちがうことがある点です。たとえば電源インレットでは、IEC の規格では 10A、UL の規格では 15A のように、同じ部品でも規格によって定格が変わります。設計では、売る国の認証の値を使いましょう。

STEP 5 認証が有効かを確認する

最後に、認証が今も有効かを確認します。

規格の改訂や製品の変更によって、認証の内容が変わることがあります。データシートや認証書は最新のものを使い、必要なら認証機関のデータベースで認証番号を調べましょう。

やりがちな失敗3つ

ここで、安全規格マークについて、やりがちな失敗を紹介します。

×

CE を第三者の合格証だと思う

CE の多くはメーカーの自己宣言です。第三者の試験を求められたら、VDE や ENEC などを確認しましょう。

×

規格ごとの定格を混ぜる

UL の定格で IEC 向けの設計をすると、余裕が足りなくなることがあります。

×

古い認証書のまま使う

認証の内容は変わることがあります。最新のデータシートと認証書で確認を。

まとめ:選ぶ前のチェックリスト

安全規格マークは、製品と部品の安全を「見える形」にしたものです。部品を選ぶ前に、次の5つを確認しておきましょう。

  • どの国・地域で売る? 使う? → 売る国
  • 法律で必要なマークと、取引先の要求は? → 必要な認証
  • 部品はその認証を取得している? → データシートの Approvals
  • その認証での定格は? → 規格ごとの定格
  • 認証は今も有効? → 最新の認証書・データベース

記事中のマークや機関の名前は、各団体の商標または登録商標です。

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