HOW TO図でわかる!安全規格マーク早わかり
電子部品のデータシートや、家電の裏側のラベルには、アルファベットの小さなマークがいくつも並んでいます。「PSE」「UL」「CE」「VDE」…。見たことはあっても、意味まではよく知らない、という人も多いのではないでしょうか。
これらは、製品や部品が安全の基準に合っていることを示す「安全規格マーク」です。この記事では、主なマークの意味と、部品を選ぶときに気をつけたいポイントを、図を使ってやさしく説明します。
3行でわかる!この記事のポイント
- 安全規格マークは、その国・地域の安全の基準に合っているしるし
- マークには「ないと売れない(義務)」と「信頼の証(任意)」がある
- 部品の認証を確認しておくと、機器の認証がスムーズになる
安全規格マークってなに?
電気の製品は、使い方をまちがえなくても、作りが悪いと感電や火災の原因になります。そこで多くの国や地域では、電気製品が守るべき安全の基準を「規格」として決めています。
製品がその規格に合っているかを確かめ、合格したしるしとして付けるのが、安全規格マークです。
安全の基準(規格)に合っているかを試験で確かめ、認められたらマークを付けます
確かめ方には、大きく2つの方法があります。
第三者認証
メーカーとは別の認証機関が試験をして、合格を認める方法。UL や VDE、CCC などがこの方法です。
自己宣言
メーカーが自分で規格に合っていることを確認し、責任を持って宣言する方法。ヨーロッパの CE マークが代表例です。
用語メモ
- 規格
- 製品が守るべき基準を、文書で決めたもの。国際規格の IEC、日本の JIS などがあります。
- 認証
- 製品が規格に合っていることを、試験などで確かめて認めること。
- 認証機関
- 試験をして認証を出す機関。UL、VDE、CSA などは、マークの名前であると同時に機関の名前でもあります。
世界の主なマーク
安全規格マークは、国や地域ごとにちがいます。製品を売る国が変われば、必要なマークも変わります。
電子部品のデータシートでよく見かけるマークを、地域ごとにまとめました。
PSE(ひし形)
日本・特定電気用品
PSE(丸形)
日本・それ以外
UL
アメリカ
CSA
カナダ・アメリカ
CE
EU
UKCA
イギリス
VDE
ドイツ
ENEC
ヨーロッパ
CCC
中国
KC
韓国
代表的なマークの例。実際には、認証機関の決まりにしたがった形・色・大きさで表示されます
PSE(日本)
電気用品安全法にもとづくマーク。対象の電気用品は、このマークがないと日本で販売できません。電源コードなど、部品そのものが対象になるものもあります。
UL(アメリカ)
アメリカの認証機関 UL のマーク。法律で一律に義務ではありませんが、取引先や保険の関係で、実際にはほぼ必要とされることが多いマークです。
CSA(カナダ)
カナダの認証機関 CSA のマーク。左右に「c」「us」が付いたものは、カナダとアメリカの両方の認証を表します。UL の cUL・cULus も同じ考え方です。
CE(EU)
EU の決まりに合っていることを示すマーク。対象の製品は EU で売るために必須です。多くはメーカーの自己宣言で付けられます。
VDE・ENEC(ヨーロッパ)
VDE はドイツの認証機関のマーク。ENEC はヨーロッパ共通の認証マークです。どちらも任意ですが、第三者が試験した信頼の証として重視されます。
CCC・KC(中国・韓国)
中国の CCC、韓国の KC は、対象の製品をその国で売るために必要なマークです。
用語メモ
- 電気用品安全法(PSE法)
- 日本で売られる電気用品の安全を守るための法律。特に危険の大きい「特定電気用品」はひし形の PSE マーク、それ以外は丸形の PSE マークです。
- UKCA
- EU を離脱したイギリスで使われる、CE マークにあたるマーク。
- CBスキーム
- 1つの試験結果(CB証明書)を、参加している国どうしで認め合うしくみ。各国の認証をとる手間を減らせます。
「義務」と「任意」を見分けよう
マークの中には、法律で決められていてないと売れないものと、法律上は任意でも信頼の証として求められるものがあります。
主なマークを、義務かどうか、誰が確かめるかで整理しました。
| マーク | 国・地域 | 義務? | 誰が確かめる? |
|---|---|---|---|
| PSE | 日本 | 対象品は義務 | 特定電気用品は検査機関、それ以外はメーカー |
| CE | EU | 対象品は義務 | 主にメーカー(自己宣言) |
| UKCA | イギリス | 対象品は義務 | 主にメーカー(自己宣言) |
| CCC | 中国 | 対象品は義務 | 認証機関 |
| KC | 韓国 | 対象品は義務 | 認証機関など |
| UL・CSA | 北米 | 法律上は任意(※) | 認証機関 |
| VDE・ENEC | ヨーロッパ | 任意 | 認証機関 |
※ 取引先の要求や、職場の安全の決まりなどで、実際には必要とされることがほとんどです。対象品や条件は国ごとに細かく決められています
部品のマークを読むときのポイント
部品のデータシートの「Approvals(認証)」の欄には、取得しているマークが並んでいます。ここでは、部品ならではの読み方のポイントを2つ紹介します。
ひとつめは、UL の「リステッド」と「レコグナイズド」のちがいです。UL には、完成品向けの認証と、部品向けの認証があります。
UL リステッド(Listed)
そのまま単独で使える製品の認証。電源コードや延長コードなど。
UL レコグナイズド(Recognized)
機器に組み込む部品の認証。決められた条件で組み込まれることが前提です。
ふたつめは、部品の認証は、機器の認証の近道になるということです。
機器の認証を受けるとき、使っている部品がすでに認証を受けていれば、その部品の試験を省ける場合があります。認証品の部品を選ぶことは、開発の時間とコストを減らすことにもつながるのです。
用語メモ
- cULus
- アメリカ(us)とカナダ(c)の両方の UL 認証を受けていることを表す書き方。
- 認証番号(ファイル番号)
- 認証ごとにつく番号。認証機関のデータベースで、認証の内容や有効かどうかを調べられます。
マークではないけれど、よく見るもの
データシートには、安全規格とは別に、環境に関わる表示もよく載っています。安全マークと混同しやすいので、あわせて覚えておきましょう。
RoHS
鉛や水銀など、決められた有害物質を使っていないことを示す EU の決まり。安全規格ではなく、環境の決まりです。
REACH
化学物質の登録や管理についての EU の決まり。特に注意が必要な物質の含有を確認します。
ハロゲンフリー
燃えたときに有害なガスを出しやすい、塩素や臭素を減らした材料を使っていることを示す表示。
部品を選ぶときの5ステップ
最後に、認証の面から部品を選ぶときの流れを、5つのステップにまとめました。
- 1売る国どこで使われる?
- 2必要な認証義務と取引先の要求
- 3部品の認証Approvals の欄
- 4認証の定格規格ごとにちがう
- 5最新の状態有効か確認
STEP 1・2 売る国と、必要な認証を決める
まずは、機器をどの国や地域で売るのか、使うのかを確認します。
そのうえで、法律で必要なマークと、取引先から求められている認証を洗い出します。ここがはっきりしていないと、あとで部品を選び直すことになりかねません。
STEP 3・4 部品の認証と、その定格を確認する
次に、部品のデータシートで、必要な認証を取得しているかを確認します。
このとき注意したいのが、認証ごとに定格の値がちがうことがある点です。たとえば電源インレットでは、IEC の規格では 10A、UL の規格では 15A のように、同じ部品でも規格によって定格が変わります。設計では、売る国の認証の値を使いましょう。
STEP 5 認証が有効かを確認する
最後に、認証が今も有効かを確認します。
規格の改訂や製品の変更によって、認証の内容が変わることがあります。データシートや認証書は最新のものを使い、必要なら認証機関のデータベースで認証番号を調べましょう。
やりがちな失敗3つ
ここで、安全規格マークについて、やりがちな失敗を紹介します。
CE を第三者の合格証だと思う
CE の多くはメーカーの自己宣言です。第三者の試験を求められたら、VDE や ENEC などを確認しましょう。
規格ごとの定格を混ぜる
UL の定格で IEC 向けの設計をすると、余裕が足りなくなることがあります。
古い認証書のまま使う
認証の内容は変わることがあります。最新のデータシートと認証書で確認を。
まとめ:選ぶ前のチェックリスト
安全規格マークは、製品と部品の安全を「見える形」にしたものです。部品を選ぶ前に、次の5つを確認しておきましょう。
- どの国・地域で売る? 使う? → 売る国
- 法律で必要なマークと、取引先の要求は? → 必要な認証
- 部品はその認証を取得している? → データシートの Approvals
- その認証での定格は? → 規格ごとの定格
- 認証は今も有効? → 最新の認証書・データベース
記事中のマークや機関の名前は、各団体の商標または登録商標です。
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