HOW TO図でわかる!SMD(表面実装)部品の基礎

2026年10月15日技術コラム

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スマートフォンやパソコンの中の基板をのぞくと、米粒よりも小さな部品がびっしり並んでいます。これらの多くが「SMD部品(表面実装部品)」です。

いまや電子機器の部品の主役ともいえる SMD 部品ですが、大きさの表し方や扱い方には、知っておきたいポイントがあります。この記事では、SMD 部品の基本を、図を使ってやさしく説明します。

3行でわかる!この記事のポイント

  1. SMD 部品は、基板の表面に直接はんだ付けする小さな部品
  2. 大きさの記号にはインチ表記とミリ表記があり、取りちがえに注意
  3. 選ぶときはサイズ・定格・はんだ付け・梱包・保管を確認

SMD部品ってなに?

電子部品を基板に取り付ける方法は、大きく2つあります。

ひとつは、部品の足(リード)を基板の穴に通して、裏側ではんだ付けする方法。もうひとつが、基板の表面にある小さな金属の部分(ランド)に、部品を直接はんだ付けする方法です。この2つめの方法で取り付ける部品を、SMD 部品と呼びます。

同じヒューズでも、リード付きのものと SMD のものがあります。並べてみると、形のちがいがよくわかります。

リード付きヒューズ

足を基板の穴に通して取り付けるタイプ。

SMDヒューズ

基板の表面に直接はんだ付けするタイプ。

写真:By SCHURTER

用語メモ

SMD/SMT
SMD は Surface Mount Device(表面実装部品)、SMT は Surface Mount Technology(表面実装の技術)の略です。
スルーホール実装
部品の足を基板の穴に通して取り付ける方法。THT とも呼ばれます。
ランド(パッド)
基板の表面にある、部品をはんだ付けするための小さな金属の部分。

SMDのいいところ・気をつけたいところ

SMD 部品が広く使われているのは、機器を小さく、たくさん、速く作れるからです。一方で、小さいからこその注意点もあります。

いいところ

小さく軽い。基板の両面に部品を載せられる。機械で自動的に、速く取り付けられる。

気をつけたいところ

手作業ではんだ付けしにくい。基板の曲げや熱に弱いものもある。大きな電流・電圧が苦手なことも。

大きさの読み方:インチとミリに注意

抵抗やコンデンサーなどの四角い小さな部品(チップ部品)は、大きさを4けたの数字で表します。前の2けたが長さ、後ろの2けたが幅です。

ややこしいのは、この数字にインチで表したもの(インチ表記)と、ミリで表したもの(ミリ表記)の2種類があることです。たとえば「1608」はミリ表記で 1.6×0.8mm。同じ大きさをインチ表記にすると「0603」になります。

インチ表記 ミリ表記 実際の大きさ
0201 0603 0.6 × 0.3 mm
0402 1005 1.0 × 0.5 mm
0603 1608 1.6 × 0.8 mm
0805 2012 2.0 × 1.25 mm
1206 3216 3.2 × 1.6 mm

表を見ると、「0603」という同じ数字が、インチ表記とミリ表記の両方に出てくることに気づきます。インチの 0603 は 1.6×0.8mm、ミリの 0603 は 0.6×0.3mm。大きさがまったくちがうので、どちらの表記かを必ず確認しましょう。

用語メモ

チップ部品
両端に電極がついた、四角い小さな SMD 部品。抵抗、コンデンサー、ヒューズなどがあります。
インチ表記/ミリ表記
部品の大きさを、インチ(1インチ=25.4mm)とミリのどちらで表すかのちがい。海外ではインチ表記、日本ではミリ表記がよく使われます。

いろいろなSMD部品の形

SMD 部品には、チップ部品のほかにもさまざまな形があります。代表的なものを紹介します。

チップ部品

両端に電極がある四角い部品。抵抗、コンデンサー、インダクター、ヒューズなど。

小さな半導体(SOT など)

トランジスターやダイオードなどを入れた、足が数本の小さなパッケージ。

IC(SOP・QFN・BGA など)

たくさんの電極を持つ IC のパッケージ。足が外に出るもの、裏側に電極が並ぶものなどがあります。

ヒューズホルダーなど

交換できる部品を保持するホルダーにも SMD タイプがあります。SCHURTER社には、5×20mm の管ヒューズ用の SMD ヒューズホルダー「FPG7」などがあります。

はんだ付けは「リフロー」で

SMD 部品の多くは、「リフロー」という方法で、まとめてはんだ付けされます。

基板にクリーム状のはんだを印刷し、その上に機械で部品を載せ、炉で加熱してはんだを溶かします。たくさんの部品を一度にはんだ付けできるのが特長です。

印刷→搭載→加熱→検査

はんだを印刷 → 部品を載せる → リフロー炉で加熱 → 検査

リフローでは、部品も高い温度にさらされます。そのため、部品がどの温度まで耐えられるかを、データシートで確認しておくことが大切です。

用語メモ

リフロー
はんだを印刷した基板に部品を載せ、炉で加熱してはんだ付けする方法。
はんだペースト
細かいはんだの粒と、はんだ付けを助ける薬(フラックス)を混ぜたクリーム状のはんだ。
マウンター
部品を基板の決まった位置に、自動で載せていく機械。

選び方は5ステップ

SMD 部品を選ぶときは、次の5つのステップで確認していきましょう。

  1. 1サイズ表記と扱いやすさ
  2. 2定格小さいほど限界も
  3. 3はんだ付け耐えられる温度
  4. 4梱包リールの数量
  5. 5保管湿気に注意

STEP 1 サイズ:表記と扱いやすさ

まずはサイズです。インチ表記かミリ表記かを確認したうえで、基板のスペースに合わせて選びます。

小さいほど機器を小さくできますが、そのぶん取り付けや検査、修理が難しくなります。試作で手作業ではんだ付けするなら、少し大きめのサイズのほうが扱いやすいでしょう。

STEP 2 定格:小さいほど限界もある

次に、定格を確認します。

SMD 部品は小さいぶん、流せる電流や、かけられる電圧、発熱に耐える力には限界があります。同じ種類の部品でも、サイズが小さいほど定格が小さくなることが多いので、余裕をもって選びましょう。

STEP 3 はんだ付け:耐えられる温度を確認

三つ目は、はんだ付けの条件です。

データシートには、リフローで何℃まで、何秒まで耐えられるかが載っています。工場のリフローの条件に合っているかを確認しましょう。手作業ではんだ付けする場合は、手はんだに対応しているかも見ておきます。

STEP 4 梱包:リールの数量

四つ目は梱包です。

SMD 部品は、自動で取り付けるために、テープに入れてリールに巻いた形で売られることが多くあります。1リールに数千個単位で入っていることもあるので、必要な数と合っているかを確認しましょう。少量なら、テープを切り分けた「カットテープ」で買える場合もあります。

用語メモ

テープ&リール
部品をテープのくぼみに1個ずつ入れ、リールに巻いた梱包。マウンターにそのまま取り付けられます。

STEP 5 保管:湿気に注意

最後は保管方法です。

IC などの樹脂でできた部品は、空気中の湿気を少しずつ吸います。湿気を吸ったままリフローで加熱すると、中の水分が一気にふくらんで、部品が割れることがあります。

湿気への弱さは「MSL」という等級で表されます。開封後の保管期間が決められている部品は、乾燥した場所で保管し、期限を過ぎたら乾燥(ベーキング)させてから使います。

用語メモ

MSL(湿気感受性レベル)
部品が湿気にどれだけ弱いかを表す等級。数字が大きいほど湿気に弱く、開封後に早く使い切る必要があります。
ベーキング
湿気を吸った部品を、決められた温度と時間で加熱して乾かすこと。

やりがちな失敗3つ

ここで、SMD 部品を使うときに、やりがちな失敗を紹介します。

×

インチとミリを取りちがえる

「0603」はインチとミリで大きさがまったくちがいます。どちらの表記か必ず確認を。

×

小さすぎて手で付けられない

試作で手作業をするなら、扱えるサイズかどうかも考えて選びましょう。

×

開封したまま放置する

湿気を吸った部品をリフローすると、割れることがあります。保管の決まりを守って。

まとめ:選ぶ前のチェックリスト

SMD 部品は、小さな機器づくりを支える主役です。選ぶ前に、次の5つを確認しておきましょう。

  • そのサイズはインチ表記? ミリ表記? → サイズの表記
  • 電流・電圧・発熱に余裕はある? → 定格
  • 工場のリフロー条件に耐えられる? → はんだ付けの条件
  • 必要な数と、梱包の単位は合っている? → 梱包(リール・カットテープ)
  • 湿気に弱い部品? → MSL と保管方法

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